ラズベリーパイ(Raspberry Pi)を使用してネットワークストレージ(NAS)を構築することは、手軽でコスト効果の高い方法です。NASは、複数のデバイスからファイルにアクセスできるようにするためのセントラルなストレージソリューションです。家庭用や小規模オフィス環境で特に便利で、データの共有やバックアップを簡単かつ効果的に行うことができます。
この記事では、ラズベリーパイを利用したNASのセットアップ手順や必要なソフトウェア、セキュリティの設定方法について詳しく解説します。ラズベリーパイは、小型で低消費電力ながら十分なパフォーマンスを提供するため、NASのホストとして理想的な選択肢です。また、コミュニティでのサポートも充実しており、幅広い情報源やコミュニティフォーラムが利用できます。
NASを構築することで、データの管理や共有が効率化され、ファイルへのアクセスが容易になります。また、データのバックアップやリモートアクセスなど、さまざまな機能を追加することができます。セキュリティ設定も重要であり、適切な設定を行うことでデータの安全性を確保することができます。
準備するもの
ラズベリーパイを使用してNASを構築するためには、以下のアイテムが必要です。
- ラズベリーパイ: ネットワークストレージのホストとして機能するコンピューターとして、最新のRaspberry Pi 4が推奨されます。Raspberry Piは低コストかつ低消費電力ながら高い性能を提供します。
- microSDカード (16GB以上): Raspberry PiのOSやデータを格納するためのストレージとして必要です。最低でも16GB以上の容量を持つmicroSDカードが推奨されます。
- 外付けハードドライブ (USB接続): ファイルを保存するための実際のストレージデバイスとして必要です。USB接続の外付けハードドライブは、大容量のデータを安全に保存するのに適しています。
- LANケーブル: Raspberry Piをローカルネットワークに接続するためのケーブルです。有線接続を使用することで安定した通信を確保できます。
- 電源アダプター: Raspberry Piに電力を供給するためのアダプターです。適切な電力供給が必要です。
- キーボードとマウス (一時的に必要): Raspberry Piの初期セットアップ時にはキーボードとマウスが必要です。セットアップが完了した後は不要になりますが、初期セットアップでは必須です。
これらのアイテムを用意することで、ラズベリーパイを使用してネットワークストレージを構築する準備が整います。
セットアップ手順
Raspberry Piを使用してNASを構築するためのセットアップ手順を詳しく説明します。
まずは、Raspberry Pi OSのインストールから始め、初期セットアップを行います。
Raspberry Pi OSのインストール
- Raspberry Pi Imagerを公式サイトからダウンロードし、コンピューターにインストールします。
- マイクロSDカードをコンピューターに挿入し、Raspberry Pi Imagerを起動します。
- 「Operating System」から「Raspberry Pi OS(32-bit)」を選択し、マイクロSDカードに書き込みます。
初期セットアップ
- Raspberry PiにマイクロSDカードを挿入し、外部ハードドライブとイーサネットケーブルを接続します。
- Raspberry Piを起動し、初期セットアップを行います。言語、パスワードなどの設定を行います。
次に、Sambaを使用してファイル共有を設定し、他のデバイスからのアクセスを可能にします。
Sambaのインストールと設定
ターミナルを開き、以下のコマンドを入力してSambaをインストールします。
sudo apt update sudo apt install samba samba-common-bin
Sambaの設定ファイル(smb.conf)を編集します。
sudo nano /etc/samba/smb.conf
ファイルの末尾に以下の設定を追加します。
[NAS] comment = Raspberry Pi NAS path = /mnt/nas read only = no browsable = yes
ディレクトリを作成してパーミッションを設定します。
sudo mkdir /mnt/nas sudo chmod -R 777 /mnt/nas
Sambaのユーザーを追加します。
sudo smbpasswd -a pi
最後に、Raspberry Piを再起動してセットアップのテストを行います。これにより、NASが正常に構築され、ネットワーク内のデバイスからファイルにアクセスできることが確認されます。
リブートとテスト
Raspberry Piを再起動します。
sudo reboot
別のコンピューターからネットワーク内のRaspberry Piにアクセスし、作成したNAS共有フォルダにアクセスできることを確認します。
これで、Raspberry Piを使用したNASのセットアップが完了し、他のデバイスからファイルにアクセスできるようになります。
セキュリティの設定
この項目では、Raspberry Piを使用したNASのセキュリティの設定方法について説明します。まず、ファイアウォールの設定を行い、デフォルトのファイアウォールを有効化します。
ファイアウォールの設定
デフォルトのファイアウォールを有効にします。
sudo ufw enable
Sambaのポート(TCP 137-139、445)を許可します。
sudo ufw allow 137:139/tcp sudo ufw allow 445/tcp
ユーザーアクセス制限
次に、Sambaポートを許可して、外部からのアクセスを制御します。さらに、ユーザーアクセスを制限するために、Sambaの設定ファイルを編集し、特定のユーザーにのみアクセスを許可します。これにより、NASに対する不正アクセスを防ぎ、データのセキュリティを強化します。
不要なユーザーアクセスを制限するために、Sambaの設定ファイル(smb.conf)を編集します。
sudo nano /etc/samba/smb.conf
共有フォルダのセクションに以下の設定を追加します。
valid users = @users
テストユーザーを作成して、適用します。
sudo smbpasswd -a testuser sudo smbpasswd -e testuser
これにより、ファイアウォールが有効になり、Sambaポートが適切に許可されます。また、ユーザーアクセスが制限され、不正なアクセスを防ぐことができます。
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