有線LANハブの速度低下トラブルを解決する:留意すべき速度仕様と選定ポイント

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有線LANハブを導入または変更する際、ネットワークの速度低下は一般的な問題として発生します。

この問題には、ネットワークハブ・スイッチングハブの適切な設定や選定、ネットワーク全体の構成に注意を払う必要があります。以下に、速度低下の問題への具体的なアプローチについて解説します。[記事一覧]

スイッチングハブの交換後、または新規導入後の該当スイッチングハブ配下にて、速度低下トラブルを発生させないためには、まず大きく分けて4つ考慮すべき点があります。

  • 有線LAN スイッチングハブの速度仕様の基礎
  • スイッチングハブの仕様と選定ポイント
  • ハブの正しい接続とケーブルの確認
  • ハブの基本設定の確認

有線LAN スイッチングハブの速度仕様の基礎

有線LANハブの速度仕様は、主に100Mbps(メガビット毎秒)と1000Mbps(ギガビット毎秒、または1Gbps)の2つの主要なカテゴリーがあります。

これらの速度仕様にはいくつかの重要な違いとそれぞれの特徴が存在します。

100Mbpsと1000Mbpsの違い -速度仕様-

ハブは製品によって10Mbps、100Mbps、1000Mbps(1Gbps)など転送速度の最大値が存在します。

  • 転送速度: 100Mbpsは秒間100メガビットのデータ転送を意味し、対照的に1000Mbpsは1ギガビットのデータを秒間に転送できます。ギガビットは100メガビットの10倍の速度です。
  • データ容量: ギガビットはデータを1つのタイムスロットで送信できるため、より大きなデータ容量を処理できます。
  • ネットワークの帯域幅: ギガビットは広い帯域幅を提供し、大容量のデータ転送や多くの同時接続に適しています。
  • 100Mbpsの特徴:
    • 主に小規模ネットワークや家庭用途に適している。
    • 基本的なファイル転送や一般的なネットワークアクセスには十分な性能を発揮する。
    • コストが低く、普及が進んでいる。
  • 1000Mbps(ギガビット)の特徴:
    • ビジネス環境や大規模ネットワークでよく使用される。
    • 高速ファイル転送、ビデオストリーミング、大容量データベースアクセスなど、高いパフォーマンスが求められる場面に適している。
    • ネットワークの将来的な成長に備えて、より大きな帯域幅を提供する。

ハブの速度がネットワーク全体のパフォーマンスに与える影響

スイッチングハブの速度が遅い場合はネットワークのボトルネックとなる可能性があります。

ハブがネットワークにおいて最も低い速度を持っていると、そのハブを通過する通信はハブの対応可能最高速度が限界値となるので、他の高速なデバイスやネットワーク機器の性能が十分に発揮されないことになります。

  • ネットワークのボトルネック: ハブの速度がネットワーク内で最も低い速度であれば、データはその速度に合わせて転送されるため、他の高速デバイスの性能が最大限に引き出せません。これがネットワーク全体のボトルネックとなり、遅延や待ち時間が発生します。
  • コリジョンドメインの影響: ハブは通信するデバイス全体を1つのコリジョンドメイン(衝突ドメイン)として扱います。コリジョンはデータが同時に送信され、衝突が発生する状態です。100Mbpsのハブではこの影響が顕著になりやすく、ボトルネックを引き起こす可能性があります。
  • ギガビットハブの利点: ギガビットハブは高速なデータ転送が可能で、大容量のデータや多くの同時接続に対処できます。これにより、ネットワーク全体のパフォーマンスが向上し、快適な利用環境が提供されます。

ネットワークのパフォーマンス向上を図るためには、ハブの速度をネットワーク全体の要件に合わせて適切に選定し、特に大容量のデータ転送や多様なネットワークアクティビティに対応できるギガビットハブの導入が推奨されます。これにより、ハブがネットワークの成長に対応し、高いパフォーマンスを維持できるようになります。

スイッチングハブの選定ポイント

ハブを選定する際には、ネットワークの規模や要件に基づいた慎重な検討が重要です。以下は、ハブの選定におけるポイントについて詳しく解説します。

  1. ネットワークの規模と要件の確認
    • ネットワーク全体の規模や使用目的を明確にし、ハブがどれだけのデバイスやトラフィックを処理できるかを評価します。
    • 小規模ネットワークでは、コスト効果を考慮して100Mbpsハブが適している場合がありますが、大規模な企業ネットワークではギガビットハブがより適していることがあります。
  2. 速度仕様の選択
    • ネットワークの通信量や要求されるデータ転送速度に基づき、100Mbpsまたはギガビットの速度仕様を選択します。
    • 高速データ転送や大容量ファイルの頻繁な転送が必要な場合は、ギガビットハブが適しています。
  3. ハブのポート数の考慮
    • ネットワークに接続されるデバイスの数に応じて、適切なポート数のハブを選択します。
    • ポート数が少ないハブでは、同時接続数が制限され、拡張性が制約される可能性があります。
  4. 冗長性の重要性の評価
    • ネットワークの可用性向上のために、冗長性が求められる場合は、冗長機能を持つハブを選択します。
    • 冗長性を備えたハブは、1台のハブが故障した場合でもネットワークが中断せずに稼働し続けることができます。
  5. スケーラビリティの考慮
    • ネットワークの将来的な拡張を見越して、スケーラビリティを確保するためにも、余裕を持ったポート数や高い速度仕様のハブを検討します。
    • ネットワークの成長に迅速に対応できる柔軟性が重要です。
  6. 管理機能やセキュリティ機能の検討
    • ネットワークの管理やセキュリティ要件に合わせて、必要に応じて管理機能やセキュリティ機能が備わったハブを選択します。

ハブの選定はネットワークの基盤を築く重要なステップであり、将来的な拡張や変更を考慮に入れた慎重な検討が求められます。

NW機器(ハブ)の正しい接続とケーブルの確認

ハブを正しく接続し、適切なLANケーブルを使用することは、ネットワークの正常な運用に欠かせない要素です。以下に、このプロセスの詳細なステップについて解説します。

  1. ハブとネットワークデバイスの正しい接続
    • ハブのポートにLANケーブルを正しく挿入し、ネットワークデバイスとハブが物理的に接続されていることを確認します。
    • 接続が確実でない場合、データの転送中に接触が悪化し、パフォーマンスの低下や通信の不安定性が生じる可能性があります。
  2. ケーブルの品質と長さの確認
    • 使用するLANケーブルの品質が要求に適しているか確認します。品質の悪いケーブルは通信エラーやノイズの原因となります。
    • ケーブルの長さも重要であり、特にギガビットイーサネットでは適切な長さを超えないようにする必要があります。
  3. LANケーブルの種類による最高速度の異なる点の説明
    • LANケーブルの種類にはCat5、Cat5e、Cat6、Cat6aなどがあり、これらの異なる種類によって最高速度が異なります。
    • Cat5: 最大100Mbpsまでの速度に対応しています。主に古いネットワークや低速のアプリケーションに使用されます。
    • Cat5e: 最大1Gbps(ギガビット)の速度に対応しています。一般的に普及しており、多くのネットワークで使用されています。
    • Cat6: 最大10Gbpsの速度に対応しています。大容量データの高速転送が必要な環境で使用されます。
    • Cat6a: Cat6の進化版で、最大10Gbpsの速度を長距離でサポートします。

スイッチングハブの基本設定の確認

スイッチングハブは下記のような設定が可能な製品が存在します。どの機能が設定可能であるかは製品によって異なります。

  1. 速度制御の確認
    • ハブの速度制御設定を確認し、ネットワーク内のデバイスとの互換性があることを確認します。
    • 速度制御が不適切であると、異なる速度のデバイスが接続された場合に通信の問題が生じる可能性があります。
  2. 冗長性の確認
    • ハブが冗長機能をサポートしている場合、それが有効になっているか確認します。冗長性が確保されると、ハブの一部が故障した場合でもネットワークの中断を最小限に抑えることができます。
    • STP(Spanning Tree Protocol)などの冗長化プロトコルの設定も確認し、ループが発生しないようにします。
  3. ポートの設定の確認
    • 各ポートの設定を確認し、必要に応じて変更します。これにはVLANの設定、ポートの転送モード(ハーフ/フルデュプレックス)、QoS(Quality of Service)などが含まれます。
    • ポートが正しく設定されていることで、トラフィックの制御やネットワークの最適な利用が可能になります。
  4. セキュリティ設定の確認
    • ハブがセキュリティ機能を提供している場合、これらの設定を確認し、ネットワークの安全性を向上させます。これにはMACアドレスのフィルタリング、ポートセキュリティの設定などが含まれます。

設定が可能な製品は多くの場合、デフォルトで使用することはできず設定が必須です。
VLANやIPアドレスの設定も不要な場合は、下記のような設定不要のハブの使用をおすすめします。

設定不要 -挿すだけで使えるおすすめスイッチハブ-

TP-Link TL-SG105 5ポート
tp-link0206

◆コンパクトな5ポート 10/100 /1000Mbps アンマネージ スイッチングハブ
◆グリーンイーサネット技術導入により、既存機種より最大84%の電力消費をセーブすることが可能
◆デスクトップ設置または壁掛けにも最適
◆さすだけで使えるプラグ&プレイ式を採用
◆永久無償保証

NETGEAR GS305-300JPS 5ポート
netgs0206

◆ギガビット(10/100/1000Mbps)5ポート アンマネージスイッチ
◆騒音源となる冷却ファンが不要で放熱性能の高い金属筐体。
◆本体も電源アダプターも長期3年保証。 ホームネットワーク、SOHO向け
◆ルーターのポートが足りない時の増設に最適。 LANケーブルのクロス/ストレートどちらでもポートに挿すだけで使える
◆手のひらサイズのコンパクト設計

BUFFALO LSW6-GT-5EPL/NBK 5ポート
bff-0206

◆伝送速度(規格値): 1000Mbps (1000BASE-T)、100Mbps (100BASE-TX)、10Mbps (10BASE-T)
◆主な付属品:取扱説明書、ACアダプター、ゴム足※保証書は取扱説明書に記載
◆動作保証環境 結露なきこと:温度0~40℃、湿度10~85%(結露なきこと)
◆外形寸法(幅×高さ×奥行): 104×25×65mm※本体のみ(突起部除く)、約95g

上3つの製品はLANケーブルを挿すだけで、すぐに使える5ポートのハブです。Gigaビット対応のため最大転送速度は1Gbpsと一般的なルータやONU、スイッチングと接続しても速度低下の心配はありません。

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