半導体不足の発生原因とは?品薄や納期遅れなどの影響と解消の目安

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半導体不足の発生原因とは? 品薄や納期遅れなどの影響と解消の目安

現在(2022年5月)発生している世界的な半導体不足。

これによりあらゆる電子機器の生産の遅れに繋がり、品薄や納期遅延など日本の生産者、消費者問わず多大な影響が発生しています。

ネットワーク機器やパソコン、サーバーなどの製品も、国内外問わず多くののメーカーで納期未定という状況に陥り、システムエンジニアやIT系に努める人々にも影響していることを実感しています。

今回はこの「世界的な半導体不足」が「なぜ発生しているのか」「どのような影響があるのか」「解消の見込みはいつ頃なのか」を重点的に解説し、この電子機器が品薄となっている状況でどのように対応しているメーカが存在するか、も記載していきます。

半導体とは? どのような部品?

半導体とは電子機器のほとんどに組み込まれている電子部品で、「一定の電気的性質」を備えていることが特徴の物質です。

電気を通すことが特徴の「導体」と、電気を通さないという特徴をもつ「絶縁体」の中間の性質を備えたパーツを「半導体」と呼びます。

※半導体の製造方法に関しては今回は説明を省かせていただきますので、詳しくはこちらをご参照ください。
(半導体ができるまで/I-PEX[https://corp.i-pex.com/ja/product/semiconductor/semiconductor])

半導体は何に使われている? 影響がある業界とは?

「導体」と「絶縁体」の間に位置する「半導体」という電子部品ですが、生活で利用する製品にかなりの割合で含まれています。

上画像のよう、に生活に必須な電化製品やインフラ環境を構築する機器から、自動車やスマホ、PCなどの仕事や個人的に所有するような物にまで含まれていることから、かなりの需要があり、物を作る際にのどの分野でも必要な部費ということがわかります。

もちろんネットワーク製品などのIT周りの製品にも使用されている -SEへの影響-

本サイトはシステムエンジニアの目線からネットワーク技術や設定を開設しているブログですので、エンジニア目線で「半導体」について記載しますが、もちろんパソコンやサーバーだけではなくルーターやスイッチ、アクセスポイントなどのネットワーク製品にも搭載されています。

そのことから世界的な半導体不足という現象は、ネットワークの構築案件などにも納期遅れなどかなり影響が出ていることを実感しています。

新しいパソコンの発注から半年以上納期が遅れることはもちろん、アクセスポイントなどのネットワーク機器は現品限りの納期未定など在庫状況はメーカー様々異なり、機器の確保状況が競合他社との評価基準となる案件も多々あります。

半導体不足の原因は? なぜ発生した?

上記のように世界中で様々な製品の生産に必要な半導体という部品ですが、今世界規模での「半導体不足」が発生しています。

なぜ半導体不足は発生してしまったのでしょうか?主な原因と言われている事象を解説いたします。

  • 需要の急激な増加
  • +新型コロナウイルス(COVID-19)による更なる需要の増加
  • ++世界の情勢、災害により増産が困難に

原因と考えられるのは上記3つあり、大まかにいうと需要と供給のバランスの崩壊、それに加え各製造工場や生産地のトラブルとなります。

ITの普及による需要の急激な増加

まずは半導体の生産する工程は非常に困難であり、需要が高まったなどの情勢に伴った増産というのは容易には行えないという前提があります。

そして実際に、半導体が必要な製品が世界中で生産されていき、需要が高まったことに対し需要と供給のバランスが崩れるということが発生してしまいました。

さらに下記で解説する、新型コロナウイルスの感染拡大による影響がプラスで影響してきます。

新型コロナウイルス(COVID-19)による更なる需要の増加

半導体の需要と供給のバランスが不安定な状況の中、2019年から続く新型コロナウイルス感染拡大に伴い、更なる需要の増加が発生しました。 日本でも感染拡大防止対策としてテレワークを取り入れる企業も増加しました。

テレワークを普及させるための社員向けノートパソコンの発注や、リモート会議の為のテレビ会議システム、webカメラやネット環境の新規構築などすべての工程に半導体を含む製品が必要ということで、半導体不足に滑車をかけることになりました。

世界の情勢、災害により増産が困難に

需要と供給のバランスの崩壊に加え、世界情勢や生産工場が設けられている地域の自然災害や事故により、半導体不足の状況を増産するどころか生産に支障が発生し事態が悪化しています。米中の貿易摩擦やウクライナ情勢も影響する他、影響を与えたとされている重大な災害について解説していきます。

2019年以降の台湾の干ばつによる水不足が影響

半導体を製造している工場や「ウェーハ」という部品の清掃や洗浄に大量の水を使用します。

ウェーハとはシリコンを薄くスライス上にカットした部品で、半導体の原型です。

世界の半導体の多くの割合を台湾のTSMC[https://www.tsmc.com/japanese]という企業が生産しており、取引先にもAppleやIntelなどの企業が存在しています。

そんな半導体の生産に大きく関わりを持つ台湾ですが、生産に必要な「水」が不足するという事態が大きな影響を与えました。

2019年まで台湾では年に最低1回台風が上陸し、大量の雨が台湾内のダムの貯水量に貢献しています。

しかし、2020年からは台風が1回も台湾に上陸せずダムの貯水量の不足が発生しています。

下記が台湾全土での各ダムの貯水比率です。

[台湾 ダム名称]貯水率(満水で100%)
翡翠ダム76.02%
石門ダム30.88%
宝山ダム18.84%
宝山第2ダム7.76%
永和山ダム7.11%
明徳ダム10.27%
鯉魚潭8.39%
徳基ダム4.58%
霧社ダム16%
日月潭ダム34.81%
曽文ダム11.61%
白河ダム0%
南化ダム29.8%
烏山頭ダム41.33%
台湾ダム貯水率(%)2020年4月

上記のデータのように台湾の殆どのダムが30%未満という、干ばつが深刻化した状況となっています。

水不足により水力発電が行うことができず、停電の発生するなど世界の電子機器の生産遅れのみならず、農業などの他分野への被害も発生している状況であり深刻な問題として取り扱われています。

生活に必要な「水」が不足している状態で、当然優先すべきはまず台湾の人々の暮らしのため、半導体の生産に大量の水を使用することが困難ということです。

台湾政府は、企業の工業水や家庭の生活水を給水停止措置の開始や、節水の呼びかけなどを行うに加え、「クラウドシーディング」と呼ばれるダム上空の雲の中に化学物質を散布し、人工的な雨を降らせる対策を行っています。

日本の生産工場の火災

日本でも半導体の生産を行っており、2019年は世界の10%生産していました。

しかし半導体製造工場での火災事故が相次いで発生し、徐々に生産割合を低下させることにも繋がっています。

 [semiconportal/日本半導体企業ランキング]
  • 旭化成マイクロシステム延岡事業所の火災
  • ルネサスエレクトロニクス那珂工場の火災

旭化成マイクロシステム延岡事業所の火災事故

2020年10月20日に、旭化成マイクロシステム(東京)の生産センター第二製造部半導体工場(宮崎県延岡市)で火災事故が発生しました。

事故の原因は、発火点と推測される装置に難燃材が使われておらず、延焼の要因となった可能性が高いといわれています。

  [朝日新聞DIGITAL(https://www.asahi.com/articles/ASP9G6WN5P9GTNAB005.html)]

延岡事業所は火災事故による工場内の損傷が激しく、既存工場の復旧を諦めることとなりました。

そして延岡子事業所で半導体の製造が困難な状況になったことで、電子機器の生産の遅れが生じましたが、火災直後には「ルネサスエレクトロニクス那珂工場」へ協力要請を行い、那珂工場(茨城県)のラインで代替生産を行いました。

ルネサンスエレクトロニクス那珂工場の火災事故

延岡事業所から協力要請を受けたルネサンスエレクトロニクス那珂工場ですが、2021年3月19日に工場の主力の生産棟でこちらも火災が発生し日本の半導体製造に大きな打撃を与えることとなりました。

主に自動車向けの半導体を扱っていた同工場ですが、この火事によって生産が停止しました。

解消の見込みはあるのか?

半導体の生産を行っていた、火災が発生した工場の復旧や台湾の干ばつ被害の改善、各メーカーの対応の動きも進んでいることから、世界的な半導体不足の解消は早くて2022年内といわれています。

テレワークの普及や暗号資産(仮想通貨やNFT)のマイニングに使用するために必要な機器、メタバースの需要など今後、今までより半導体を必要とする製品の需要が増加すると考えられますが、本当に改善する見込みがあるのでしょうか。

半導体を使用した製品を発注している企業などは、製品を確保するための多めの発注を現在行っていることから、徐々にこのような必要以上の多重発注が緩和することや、そもそもの半導体の製造ライン強化など対策が行われてきているため、「半導体不足」という問題は改善に向かっています。

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