Ciscoスイッチでのマルチキャスト設定コマンド解説
Ciscoのスイッチでは、ネットワーク上でマルチキャストトラフィックを伝送することができます。
マルチキャストは、1対多の通信を効率的に行うための技術であり、IPネットワークで多くの用途に使用されます。マルチキャストについて、メリット・デメリットや注意点などはこちらで詳しく解説しています。
本記事では、Ciscoスイッチでのマルチキャスト設定方法について解説します。
具体的には、マルチキャストルーティングの有効化、IGMPスヌーピングの有効化、ポートのマルチキャストグループへの参加などについて説明します。[Cisco公式HP マルチキャスト]
※本記事の内容を理解するためには、Ciscoスイッチの基礎知識が必要です。
Cisco-マルチキャスト設定方法-流れ
下記がCIscoのスイッチにマルチキャストの設定を行うための、大まかな手順です。
- マルチキャストルーティングを有効化
- VLANを作成
- VLANインターフェースを作成し、IPアドレスを設定
- IGMPスヌーピングを有効化
- PIMを有効化
- ポートをマルチキャストグループに参加
- 設定を保存
マルチキャストルーティングを有効化
まず、マルチキャストルーティングを有効にします。下記コマンドを入力します。
Switch(config)# ip multicast-routing
「ip multicast-routing」は、Ciscoスイッチやルーターでマルチキャストルーティングを有効にするためのコマンドです。このコマンドを実行すると、スイッチはマルチキャストパケットを処理することが可能になります。
VLANを作成
マルチキャスト通信を行うVLANを作成します。
Switch(config)# vlan 10
今回は例としてvlan10を設定します。
VLANインターフェースを作成し、IPアドレスを設定
VLANインターフェースを作成し、IPアドレスを設定
Switch(config)# interface vlan 10 Switch(config-if)# ip address [192.168.1.1] [255.255.255.0] Switch(config-if)# no shutdown Switch(config-if)# exit Switch(config)#
今回は例として、先ほど作成したvlan10に、IP[192.168.1.1/24]を設定しています。
IGMPスヌーピングを有効化
下記コマンドでIGMPスヌーピングを有効にします。
Switch(config)# ip igmp snooping
IGMPスヌーピングは、マルチキャストトラフィックの効率的な転送を可能にするため、ネットワークパフォーマンスを向上させます。
IGMPスヌーピングを有効にするVLANを設定
vlanIDを指定して、IGMPスヌーピングを設定するVLANを選択します。
Switch(config)# vlan 10 Switch(config-vlan10)# ip igmp snooping
つまり、CiscoはVLAN単位でIGMPスヌーピングの設定が可能です。
PIMを有効化
PIMスヌーピングを有効にすることで、スイッチはPIMパケットを監視し、マルチキャストグループに参加しているポートを特定します。これには、以下のコマンドを使用します。
Switch(config)# ip multicast-routing Switch(config)# interface <インターフェイス名> Switch(config-if)# ip pim <dense|sparse>
- denseモードは、PIM-DMとも呼ばれ、ネットワーク内のすべてのルーターがマルチキャストトラフィックを受信するように設計されています。
- sparseモードは、PIM-SMとも呼ばれ、マルチキャストトラフィックが必要なルーターのみがトラフィックを受信するように設計されています。
ポートをマルチキャストグループに参加
最後にマルチキャストグループに参加するポートを指定します。
Switch(config)# interface <インターフェイス名> Switch(config-if)# ip igmp join-group <マルチキャストグループアドレス>
ポートがマルチキャストグループに参加すると、そのグループに送信されるマルチキャストトラフィックを受信することができます。
設定を保存
設定を保存します。
Switch(config-if)# exit Switch(config)# exit Switch# wr
以上でマルチキャストの設定は完了です。