ArubaのIAPが再起動(リブート)を繰り返す原因と対処方法

IT技術解説

この記事ではHPE(ヒューレットパッカードエンタープライズ)のArubaのAPが再起動を繰り返す。という現象の原因と対象方法を解説していきます。

どんな時に再起動を繰り返す?

ArubaのAPは仮想コントローラ、集中管理型どちらでも機能する機種が殆どで、この再起動(リブート)を繰り返すという現象はどちらのタイプでも起こる可能性のある現象です。

再起動が繰り返すという現象が発生するパターンは大きく2パターンあります。

  • 稼働中に突然再起動が走り、その後再起動を繰り返す
  • 初回起動時に再起動を繰り返し、正常に起動しない

AP稼働中に突然再起動が走り、その後再起動を繰り返す

このパターンは、初期設定までは問題なく行えたが、実際の稼働中に突然APが再起動され、その後マスターコントローラーへの帰属がされないという場合の解決方法をご紹介します。

まず、この場合は機器の故障の可能性が高いです。

ですが一旦、本当に機器の故障かどうかという切り分けとして、下記の確認を行うことをお勧めします。

  • 対象のAPのIPアドレスは重複していないか
  • PoEスイッチ、インジェクター、AC電源は故障していないか
  • LANケーブルは傷んでいないか

稼働中にAP、WLCを含めほかのNW機器の設定変更などを行っていないのにもかかわらず、再起動が走り繰り返すという現象が発生した場合AP、電源供給装置を含め、機器自体の故障の可能性がかなり高いです。

下記の切り分けを行い、問題なければ故障と判断しサポートへの問い合わせや交換依頼を行いましょう。
  1. APの設定が飛んでいないかの確認
  2. コントローラへの通信可否の確認 ([apboot]モードからのping)
  3. 別電源供給装置、LANケーブルを使用して確認

IAPの起動前のモードでコマンドを入力可能な[apboot]モードでAPに設定したIP情報、WLCのIP情報が消失していないかをまず確認し、コントローラへの疎通確認を行いましょう。

※[apboot]モードが不明は方はこちらに詳しく記載されていますのでご確認ください。


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APの稼働中に突然に発生するパターンは何度か経験がありますが、全てが機器故障でした。

停電をよく行う現場や、粉塵、木くずなどの機器に物理的ダメージを与えそうな環境に設置している場合に多く見られます。

初回AP起動時に再起動を繰り返し、正常に起動しない

このパターンは初回起動時に発生する場合なので、基本的な設定内容、使用しているファームウェア関連、電力など様々な原因の可能性があります。

【設定内容の確認】

初めてIAPを設定する方は、apboot独特のコマンドや仕様に嵌ってしまうことがありあます。

また帰属前はエラーが発生してもエラーログを表示し、すぐに再起動を行ってしまい原因がわからなくなってしまうので、コンソールを差しておき常にログを確認する方法でないと、再起動の理由のログを見落としてしまいがちです。

IPアドレスを設定しているか

IAPの初回設定方法は多数ありますが、まずIAPには初期IPアドレスが降られていません。

DHCPで環境でAPにIPを割り当てる、もしくは[apboot]モードより静的にIPを設定、を行わなければ再起動を繰り返します。

ArubaのAPはIPアドレスが設定されていない場合、DHCPにてアドレスの取得を試みます。

そして一定時間経っても取得ができない場合は再起動し、自分のIPの確認動作を繰り返すという仕組みです。

IPアドレスの設定を行っていなかったという方は[apboot]モードより[setenv]コマンドでIPを設定しましょう。

デフォルトゲートウェイと通信可能な状態にしているか

IAPは使用により、他のセグメントと通信を行わない場合でもデフォルトゲートウェイまで通信可能か、という確認を行います。 これは機種やファームによるのですが、ゲートウェイのIPから応答がなかった場合に再起動する仕様のファームも存在します。

したがって、デフォルトゲートウェイと設定したIPを持つ機器と通信可能な状態にしておくことで改善される場合があります。

ローカル環境で構築を行う際は、PCをゲートウェイのアドレスに設定し、APを「ゲートウェイのIPと通信可能な状態にする」ことで改善します。

WLCが使用しているファームがAPに対応しているか

WLCに帰属させる集中管理型での構成では、コントローラで稼働しているファームウェアによって、帰属することができないAP(機種)があります。これはコントローラが古いファームを利用していて、APが比較的新しい機種の際に発生します。

そしてこの場合もやはりAPは再起動を繰り返してしまいますので、コントローラー側のファームウェアをアップデートする必要があります。

コントローラのファームに対応しているAPの機種を把握するには、リリースノートを確認します。

下記は[ver8.6.0.8]のリリースノートですが、例えばAP577という機種を参加させたい場合は記載がありませんので、帰属させることができません。このファームを利用した状態でAP577を起動し帰属させようとしても失敗し再起動を繰り返してしまいます。

AP577を利用するにはこれより新しいファームのリリースノートを確認していき、対応が開始したバージョンへとアップデートすることで改善します。

使用しているファームウェア(OS)の状態確認

新品のIAPであれば可能性は低いですが、中古品や保守交換品のIAPの初回起動時はファームが破損、消失している可能性が0ではありません。

ファームが入っていない、もしくは破損している際は、起動時のログに[killing 〇〇]といったような文言が出力されます。(おそらくファームや機種によって異なりますが注視していればOSに対する不具合ととれるログが表示されます)

この場合はファームの入れ直しが必要となりますので、ファームウェアを自身でダウンロード可能であれば、TFTPにてAPにファームを投入する。もしくはサポートに連絡し機器の交換か、ファームウェアをもらうといった対応が必要です。

IAPの利用モードの確認

IAPにはCAP(キャンパスAP)とRAP(リモートAP)というモードがあります。

これがRAPになっていると正常にWLCに帰属ができずに再起動を繰り返します。(CAPとして構築しようとしている場合)

 ※CAP,RAPについてはこちらで詳しく解説しています。


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また、こちらのケースも新品のIAPであれば可能性は低いですが、中古品や保守交換品などではRAPの設定となっている可能性もあります。

工場出荷状態に戻すことでRAP状態のAPをCAPに変更することができます。

apbootモードで[factory_reset]と入力すると設定は初期化され、状態も工場出荷状態に戻ります。

供給されている電源(W)の確認

APの必要な電力(W)は機種や利用する機能によって異なります。

必要としている電力より低い電力しか供給されていない場合は不具合が発生します。

再起動の繰り返しも不具合内の1つです。 電力は常に一定の強さを必要としているわけではないので、必要な電力より低くても起動はしてしまうという点が、この原因に気づきにくい点です。

APへの設定内容や負荷によって必要電力が異なるので、急に足りなくなるということも発生します。 利用しているAPの機種(型番)の必要最大電力をデータシートより調査し、電源供給を行っているPoEスイッチまたはインジェクターが仕様に合っているかの確認をおこないましょう。

また、PoEは設定によって供給する電力をコントロールで可能な機種も多いので、「エコモード」や「pwoer over ethernet low」などの設定になっていないかも確認が必要です。